イスラエル野球が強いのはなぜ?【理由はユダヤ系アメリカ人です】

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イスラエル野球が強いのはなぜ?ユダヤ人が関係

悩んでいる人
  • イスラエルの野球が強い理由が知りたい
  • イスラエルの野球の歴史が知りたい
  • イスラエル出身で有名な野球選手が知りたい

このような疑問を解決します。

本記事を読めば、イスラエル野球が強い理由、歴史、有名な選手などイスラエル野球について網羅的に知ることができます。

それでは、本題に入ります。

イスラエル野球が強い理由

イスラエル野球が強い理由

結論から言うと、イスラエル野球が強い理由は、アメリカ出身のユダヤ人にイスラエル国籍を取得させ、イスラエル代表としてプレーさせているからです。

例えば、東京オリンピックに際して、2019年夏のヨーロッパ予備予選を前にして、メジャー経験のあるザック・ワイスら10人のユダヤ系アメリカ人にイスラエル国籍を取得させ、イスラエル選手としてプレーさせています。

この結果、圧倒的な力でヨーロッパ予備予選を突破し、1枠を争うヨーロッパ・アフリカ予選へ進出。

ヨーロッパ・アフリカ予選でも、4勝1敗で日本以外では最初のオリンピック出場枠を勝ち取っています。

イスラエルのチーム強化方法は、日本人には理解しがたいものです。

実は単純にイスラエルという国籍を取得させて強化しているわけでありません。

イスラエルという国の特殊性が大きく影響しています。
そこでイスラエルという国について、詳しく解説します。

イスラエルとは

※イスラエルについて、野球に関連した内容を少し長めに解説します。

イスラエルという国はユダヤ人の国です。

ユダヤ人とは?と言うことは非常に難しいのですが、古代中東に起こったユダヤ教を信仰する人と定義します。

歴史的に差別と迫害に迫られてきた彼らの多くは世界中に離散していきます。

なかでもドイツや東ヨーロッパにその数が多く、やがてアメリカに移住をします。

その中には社会的に成功を収めた人も多く、アメリカの総人口の2%に満たないと言われますが、ユダヤ系アメリカ人は現在も政治・経済的に影響力を持っています。

その一方、中東では民族発祥の地、中東にユダヤ人の国家を作ろうというシオニズム運動がおこります。

その結果、第一次世界大戦前後から中東のパレスチナに移住していきます。

そして、第二次世界大戦後、アメリカ、イギリスの後ろ盾によりパレスチナにユダヤ人が建国した国家がイスラエルです。

現在のユダヤ人の人口は1400万人弱。このうちイスラエルに540万人、アメリカに530万人ほど居住していると言われます。

また全世界のユダヤ人本人が望めば、かんたんにイスラエル国籍が与えられることになっています。

ユダヤ人の結束は強いと言われ、アメリカ国籍を持っている人でもユダヤ人という民族意識を強く持っています。

したがって、イスラエルという国は、ユダヤ人という民族とほぼ同義語になるわけです。

そのため、WBCのルールで作った「第二のアメリカ代表」ではなく、彼らのアイデンティティを表現する場としてイスラエル代表があります。

日本人には理解しがたい感覚ですが、単純に国籍を取得させて国を強化しているわけではありません。

イスラエル野球の歴史

イスラエル野球の歴史

イスラエルで野球の試合が行われたのは、この地がイギリス統治領パレスチナと呼ばれていた建国前の1927年7月4日とされています。

シオニズム運動の指導者であった、ヘブライ大学初代学長ユダ・マグネスがこの試合に出場していますが、この時の年齢が50歳。

このことから、アメリカ移民が遊び程度にプレーしていたことが分かります。

イスラエルが建国したのは1948年。

この建国には長く続く中東戦争の惨禍を招いたが、その間もアメリカ移住者により細々と野球は行われていました。

そして、1978年になって初めて専用の野球場が作られ、1986年にはイスラエル野球協会が設立、1989年に国際野球連盟(IBAF・WBSCの前身)に加盟。

国内リーグ

2007年になって初めてプロリーグが誕生します。

しかし2007年限りで終了しています。

このプロリーグはIBLと呼ばれ、特異なリーグで中東にできたマイナーリーグという側面を持っていました。

数年前までレッドソックスのGMだったダン・デュケットが設立者に名を連ねており、選手のトライアウトが各地で行われていました。

IBLにおけるイスラエル人は全6球団、計130人のうち1割ほど。半数以上はアメリカ人で実に8か国以上から選手が集まっていました。

中には日本のクラブチームでプレーしていた選手や後に日本プロ野球でプレーするマキシモ・ネルソン投手も含まれていました。

選手のレベルがまちまちで特定のチームに好選手が集まってしまったため、上位チームと下位チームの成績が開いてしまいました。

その結果、プレーオフの方式を変更し優勝チームを決めています。

リーグのレベル

リーグのレベルと言うと、大半の選手がプロ経験がなく、広島カープのドミニカアカデミーのコーチとなっているファン・フェリシアーノ(カープの通訳)がIBLで唯一となるノーヒットノーランを達成しています。

また最多勝タイの7勝、リーグ2位となる1.97の防御率を残し、打者としても代打で.429の打率を残しています。

日本で勝ち星を挙げることができなかったフェリシアーノが、これだけの成績を残していることからもリーグのレベルがいかに低かったか分かります。

ちなみに先ほど紹介したネルソンも「我々プロフェッショナルのドミニカンが入ってルーキー級」と言っていたことを合わせると、全体的にはアマチュアレベルと言えそうです。

現在

2019年現在、イスラエルではアマチュアリーグがIBLを継承する形で細々と行われている程度です。

野球場

イスラエル国内には野球専用球場は、3か所しかないようです。

他にもいくつか野球場がありますが、その大半は陸上競技場などと兼用になっています。

ランキング

イスラエルの世界ランキングはWBSCの公式サイトで確認できます。

ちなみに2021年11月のランキングは日本が1位、イスラエルは24位となっています。

イスラエル出身の有名野球選手

イスラエル出身の有名野球選手

イスラエル出身の有名野球選手を紹介します。

  • サンディー・コーファックス
  • ハンク・グリーンバーグ
  • ブラッド・オースマス
  • ケビン・ユーキリス
  • ショーン・グリーン
  • イアン・キンズラー
  • バド・セリグ

ユダヤ系の選手で最も偉大な成績を残したのは、サンディー・コーファックス(ブルックリン/ロサンゼルス・ドジャース)でしょう。

最多勝3回、最優秀防御率5回、最多奪三振4回、シーズンMVP、サイヤング賞3回、ワールドシリーズMVP2回、ベーブルース賞2回など数々の記録を残し、メジャーリーグ殿堂入りを果たしています。

ユダヤ系の野手として最もヒットを打っているのは、1628安打を記録しているハンク・グリーンバーグ(デトロイト・タイガースほか)です。

近年ではレッドソックスで活躍し、2014年に楽天でプレーした「四球のギリシャ神」ことケビン・ユーキリスもユダヤ系のアメリカ人です。

めずらしいところでは、先代のメジャーリーグコミッショナーであるバド・セリグもユダヤ系アメリカ人です。

イスラエル野球の国際大会の成績

イスラエル野球の国際大会の成績

イスラエルの国際大会の成績も振り返りましょう。

WBC

  • 2006年:不参加
  • 2009年:不参加
  • 2013年:予選敗退
  • 2017年:2次ラウンド敗退

オリンピック

  • 2008年:不参加
  • 2021年:5位

直近の2021年に行われたオリンピックでは5位の成績を残しています。

ちなみに出場したメンバーを見ると、マイナーリーガー、元メジャーリーガー、コーチ、アナリスト、大学院生など一線級にはほど遠い選手が出場しています。

その中でも注目されたのは、大谷翔平の元チームメイトのイアン・キンズラーです。

元メジャーリーガーで、ゴールドグラブ賞2回、20本塁打30盗塁を2回記録するなど走攻守そろった選手です。

他にも内外野全てこなせるユーティリティープレーヤーで、メジャー8球団でプレー経験のあるダニー・バレンシア。

オリンピック予選では予選で大活躍をし、イアン・キンズラーと共に独立リーグで一時的に復帰しています。

プレミア12

  • 2015年:不参加
  • 2019年:不参加

欧州野球選手権

  • 2005年(英語版):予選敗退
  • 2007年:不参加
  • 2010年:予選敗退
  • 2012年:予選敗退
  • 2014年:不参加
  • 2016年(英語版):予選敗退
  • 2019年:4位
  • 2021年:準優勝

【まとめ】イスラエル野球が強いのはなぜ?

イスラエルの野球について網羅的に解説しました。

イスラエルが強い理由は、ユダヤ系アメリカ人にイスラエル国籍を取得させることで野球を強化しています。

日本人には理解しづらいですが、ユダヤ人独自のコミュニティーがあり、国際大会では独自のアイデンティティを発揮するための場になっています。

メジャーリーガーが参加するWBCのような大会になると、「マイナーリーガー+メジャーリーガー」で上位に進出する可能性のある国になっています。

オリンピックなどの国際大会では、メジャーリーグを引退した選手やマイナーリーガーのみが参加するのでレベルは下がるでしょう。

今後は参加する選手に注目しましょう。

それでは、本日はここまで。

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